
少々わかりにくい、Azure Site Recovery の課金について解説します。
※金額に関する情報は、2019年10月現在のものです。
常に最新の価格表を参照ください。
目次
Azure Site Recovery とは
Azure 仮想マシンやオンプレミスの仮想マシン、物理サーバーをレプリケーションし、ビジネス継続性とディザスター リカバリーに対応するサービスです。
課金について
公式サイトの価格の詳細ページでは、あっさりと以下のように書かれています。
- お客様所有サイトに対する Azure Site Recovery:保護するインスタンスにつき ¥1,792/月
- Azure への Azure Site Recovery:保護するインスタンスにつき ¥2,800/月
※最初の31日間は無料です。31日以降上記課金が発生します。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/site-recovery/
ところが、、、下のほうにFAQがあり、「Azure Site Recovery を使用すると、どのような料金が発生しますか?」と言うQAがあり、そこには以下のように書かれています。
「Site Recovery を使用すると、Site Recovery ライセンス、Azure ストレージ、ストレージ トランザクション、送信データ転送について料金が発生します。」
先ほどの1,792円とか、2,800円と言うのは、”Site Recovery ライセンス”のことのようです。該当の質問を展開すると、ずらりと長い回答が。そもそも他のサービスに比べてQAの数も多いですが、料金に関する補足の量もすごいので、Microsoft としても分かりにくい自覚はあるようです(笑)
Azure ストレージにかかわる課金
順番に解説します。 まずはAzure ストレージにかかわる課金について。 以下の絵がわかりやすいかと思います。

東日本にある Azure VM を西日本にレプリケーションした場合、まず、VM と同じリージョンにキャッシュ ストレージ アカウントが作成され、そこに同期するデータを一時的に格納します。 次にリージョン間転送して、西日本のディスクに書き込みます。 つまり、キャッシュ ストレージの保管容量分の課金と読み書きの課金、それから西日本のディスク容量分に課金されます。
分かりにくいポイントが、FAQでは、「ディスクは、テスト フェールオーバーまたはフェールオーバーまでは作成されません。」との記載があること。
作成されるリソースを見ると違いが判るのですが、レプリケーションを有効にすると、「ディスク名-ASRReplica」と言うディスクが作成されます。これはレプリケーション データを格納するディスクとのこと。このディスクにかかる課金は、ストレージ アカウントの種類(Standard or Premium)にもよりますが、Standard ならディスク使用量に対する課金になります。512 GB のディスクに200 GB しかなければ、200 GB 分の課金です。

次にテスト フェール オーバーを実施すると、3つリソースが作成されます。

・ディスク(ディスク名-ASRTest) ・ネットワーク インターフェース(NIC名-test) ・仮想マシン(VM名-test)
ここで作成されるディスク(ディスク名-ASRtest)が、仮想マシンで使用されるもので、マネージド ディスクであればディスクのサイズに応じた課金になります。上記 512 GB のディスクをアタッチしていて、200 GB しか使っていなくても、512 GB 分の課金です。
テスト フェール オーバー中は、「-ASRReplica」と「-ASRtest」の2つ分課金が発生する状態になります。
テスト フェール オーバーのクリーンアップを実施すると、先ほどの3つのリソースは削除されます。
今度は、フェール オーバーを実施した場合。 テスト フェール オーバーと同じく、3つのリソースが作成されます。違いは、「-ASRtest」や「-test」が付いていないことくらい。

フェール オーバーを行っただけの状態(コミットや再保護をしていない)では、新しくできた仮想マシン用のディスクと、「-ASRReplica」の2つ分課金される状態になります。 コミットや再保護をしていないと、フェール オーバーを行った時点でレプリケーションが停止し、「-ASRReplica」は更新されなくなります。
続いてコミットを実行すると、「-ASRReplica」が削除されます。

さらに、再保護を行った場合。 再保護を行う時に、西日本に新しいストレージ アカウントを作成しますが、新しいストレージ アカウントにキャッシュを溜め、東日本に「-ASRReplica」が作成されることになります。最初の状態とは逆の状態。 そっくりな絵で見分けにくいかも知れませんが、japaneastとjapanwestが入れ替わっています。

ストレージ トランザクションについて
読み書き、削除といった行為に対して、10,000トランザクション毎(1ユニット=10,000トランザクション)に課金が発生します。 参考情報として、OSのみ稼働している状態で、アプリケーション等はインストールしない場合、月間75~210ユニットとの情報がありました。 トランザクションについては、見積上微々たるものなので、あくまでも参考として。。。 Azure 側の動作となる、「-ASRReplica」の削除にかかるトランザクションは課金対象とはならないとのことです。(これもさらに微々たるものなので気にせず・・・)
送信データ転送について
リージョン間をまたいでデータを転送する際、送信データ転送(帯域幅もしくはBandwidth)に課金が発生します。 こちらは実際にデータを転送している量によって異なるので、変更量が多い場合は転送量も多くなります。
まとめ
まとめると Site Recovery を利用するには、以下のような課金となります。
- Site Recovery
- インスタンス数に応じた費用
- ストレージ アカウント
- データ保存(キャッシュ)
- 読み書きトランザクション
- 帯域幅
- リージョン間転送
- ストレージ アカウント
- データ保存(ディスク)
- 読み書きトランザクション
- 仮想マシン
- サイズに応じた費用
少しでもお役に立てれば幸いです。

きゅう
自治会長やってます。ITの知識を生かして効率的な運用を目指したい!
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